原子力・放射線のはなし

原子力放射線関連のことをつらつらと

高浜原発初臨界1974年…40年ルール…あれ?のはなし

こんばんは、なななっつです。 

先日高浜原発再稼動のニュース記事を基にしたはなしを書きました。

atomicradiation.hatenablog.com

その記事の中に

特に高浜1、2号機の場合は、期限が今年7月7日と全国の老朽原発で最も早く、間に合わなければ廃炉になる可能性があった。

<高浜原発運転延長>40年ルール看板倒れ…一部審査後回し (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

とあったので、 

「あ~原発運転できるのは40年だから、つまり高浜原発の初臨界って1976年なんだ~
一応関電のホームページでも見てみよう。」

www.kepco.co.jp

 1974年 初臨界

……あれ? もう40年たってね??

これはどういうことなんだ、と思い調べてみました。

 

原発40年ルールの根拠

 とりあえず原発40年ルールの根拠となる法令を確認。

核燃料や原子炉に関することは、

(通称原子炉等規制法、現場レベルだと炉規法と略したりもします。)
に書かれています。

で、見ていくとありました!

第四十三条の三の三十二   

         発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができる期間は、当該発電用原子炉の設置の工事について最初に第四十三条の三の十一第一項の検査に合格した日から起算して四十年とする。

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

(注:文中にある第四十三条の三の十一第一項の検査とは使用前検査といって原子炉を稼働する前に受ける検査のこと)

…40年ってことは書かれてるけど例外の話とかは書かれてないなぁ~

附則の確認

こういうときには附則をチェックしてみます。附則とは

 法律の規定は「本則」と「附則」から構成され、本則には、法令の本体的部分となる実質的な定めが置かれるのに対して、附則には、本則に定められた事項に付随して必要となる事項が定められることとなっています。

参議院法制局

でして大体ここに施行日とか経過措置等が書かれてたりします!

で…見ていくと……ビンゴでした!!附則第25条によると

 第25条 2  前項の規定にかかわらず、既設発電用原子炉のうち、附則第一条第四号に掲げる規定の施行の日において、その設置の工事について最初に附則第四十一条の規定による改正前の電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)(以下「旧電気事業法」という。)第四十九条第一項の検査に合格した日から起算して三十七年を経過しているものに対する第四号新規制法第四十三条の三の三十一第一項(附則第一条第五号に掲げる規定の施行後においては、第五号新規制法第四十三条の三の三十二第一項。以下この項において同じ。)の規定の適用については、第四号新規制法第四十三条の三の三十一第一項中「当該発電用原子炉の設置の工事について最初に第四十三条の三の十一第一項の検査に合格した日から起算して四十年」とあるのは、「原子力規制委員会設置法(平成二十四年法律第四十七号)附則第十七条の規定の施行の日から起算して三年」とする。

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

 …ごちゃごちゃ書かれていますが超簡単に書くと

附則第一条第四号が施行する日に使用検査から37年たっている原発は、原子力規制委員会設置法附則第十七条が施行された日から3年まで原発40年ルールが猶予されるよ!!

って感じですね☆

この37年経っている原発に高浜原発は該当しそうです!

附則第一条第四号の施行日の確認

附則附則第一条第四号を調べてみます。

四  附則第十七条、第二十一条から第二十六条まで、第三十七条、第三十九条、第四十一条から第四十八条まで、第五十条、第五十五条、第六十一条、第六十五条、第六十七条、第七十一条及び第七十八条の規定 施行日から起算して十月を超えない範囲内において政令で定める日

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

 …政令で定める日っていつだよ……

 原子力系の政令を調べまくったところ

原子力規制委員会設置法の一部の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」を見つけました。

www.nsr.go.jp

 これは怪しい…確認しますと

第一 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令の一部改正

https://www.nsr.go.jp/data/000068866.pdf

これですね!!この施行日は

一 この政令は、設置法附則第一条第四号に掲げる規定の施行の日(平成二十五年七月八日)から施行する。

https://www.nsr.go.jp/data/000068866.pdf

 なわけで平成25年7月8日時点で37年経過している原発は40年ルール猶予なので、

高浜原発(1974年初臨界)はこれに該当することになります。

 話は戻って

平成25年7月8日に使用検査から37年たっている原発は、原子力規制委員会設置法附則第十七条が施行されて3年まで原発40年ルールが猶予される。

まで分かりました!!

 

原子力規制委員会設置法附則第十七条の施行日

 次は原子力規制委員会設置法附則第十七条が施行される日を調べます。

 法令データ提供システムの利用の原子力規制委員会設置法は附則が大幅に省略されていたので、

原子力規制庁ホームページのここから

www.nsr.go.jp

 原子力規制委員会設置法本文

https://www.nsr.go.jp/data/000068988.pdf

を確認します。

PDFの73ページに附則第十七条が書かれており改正内容がつらつらと書いてあります。

が、この内容はどうでもいいので、この改正がいつ施行されるのかを知る必要があります。

前と同じように附則を探すと予想通り附則の第一条四項(P20)にありました!!

四 附則第十七条、第二十一条から~(略)~施行日から起算して十月を超えない範囲内において政令で定める日

https://www.nsr.go.jp/data/000068988.pdf

………政令を探しましょう笑

 いろいろ探しているうちに

原子力規制委員会設置法の一部の施行期日を定める政令」

www.nsr.go.jp

  をみつけました。

いいかげん見つかってくれ…と祈りながら確認すると…

原子力規制委員会設置法附則第一条第四号に掲げる規定の施行期日は、平成二十五年七月八日とすること。

https://www.nsr.go.jp/data/000068871.pdf

 ……やっとこさゴールですね笑 しかも結局同じ7月8日という笑 

最後まとめ

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律附則第25条第2項より

附則第一条第四号が施行する日に使用検査から37年たっている原発は、原子力規制委員会設置法附則第十七条が施行された日から3年まで原発40年ルールが猶予されるよ!!

なので

  • 附則第一条第四号が施行する日=平成25年7月8日
  • 原子力規制委員会設置法附則第十七条が施行された日=平成25年7月8日
  • 原子力規制委員会設置法附則第十七条が施行された日から3年、つまり平成28年7月7日

よって

平成25年7月8日に使用検査から37年経ってる原発は平成25年7月8日から3年、つまり平成28年7月7日まで原発40年ルールを猶予するよ!!

ってことですね。

これで高浜原発はすでに40年経っているのに期限が今年の7月7日な理由が解明されました!!

調べてみて 

 いや~正直大変だった。法律読むの難しすぎ。弁護士とか毎日こういうの相手してるんですかね~すごいな。てか立法するほうも大変すぎでしょこりゃ。

今回いろいろ調べてみて、このような決まりって辿っていけばすべて法律に書かれているんですね。日本は法治国家なので当たり前といえば当たり前ですが笑 大変だったけどそれが実感できただけでも良かったかな。

皆さんも一度は当たり前と思ってることを、どのような法律でどのような根拠で決まっているのか調べてみてもいいかもですね!!めっちゃ大変ですけどね!!笑